Latticeの概要と注目される背景
Lattice（ラティス）は、従業員の目標管理や評価、エンゲージメント向上を一元的にサポートするHRTechプラットフォームです。シリコンバレー発の革新的な人事評価ツールとして、近年急速に世界中で導入が進んでいます。
以下では、Latticeの開発背景、注目される理由、他のツールとの違いについて詳しく解説します。
Latticeとは何か？開発の経緯と企業概要
Latticeは2015年にアメリカ・サンフランシスコで創業されたHRTechスタートアップ「Lattice Inc.」によって開発されました。
同社は「人と組織の成長を支援する」ことをミッションに掲げ、従業員のパフォーマンス管理、OKRの可視化、定期的なフィードバックなどを包括的に提供するクラウド型プラットフォームを展開しています。
創業から急成長を遂げ、SlackやDropbox、Redditといった有名企業にも導入されている実績があります。日本でもグローバル志向の企業を中心に注目を集めています。
なぜ今、Latticeが注目されているのか
Latticeが注目を集めている理由の一つは、「属人化しがちな人事評価プロセスの可視化と効率化」を実現している点です。
従来の評価制度では期末にまとめて評価する傾向があり、リアルタイムなパフォーマンスや対話が軽視されがちでした。Latticeは、目標管理と1on1、フィードバック記録を一体化し、継続的なコミュニケーションを促進することで、評価の納得感と透明性を高めます。また、AIやデータ分析を用いた客観的な指標も支持を集める要因となっています。
他のHRTechツールとの違い
Latticeは、従来の評価システムと異なり、組織全体の「成長循環」を意識した設計が特徴です。
一般的な人事評価ツールはスコアリングやレビュー機能に特化していることが多い一方、Latticeは目標設定、進捗確認、フィードバック、エンゲージメントサーベイ、キャリア開発までを一元化。特に1on1ミーティングの管理やOKRの連携機能は、マネージャーの支援ツールとしても評価されています。
また、UI/UXも洗練されており、非エンジニアの人事担当者でも使いやすい設計となっている点も差別化のポイントです。
Latticeの主な機能と特徴
Latticeは人事評価のプロセスをトータルで支援する、オールインワンのHRTechプラットフォームです。評価の可視化、目標管理、フィードバック文化の醸成、エンゲージメント分析など多角的な機能を備えており、社員と組織の成長を両面からサポートします。
ここでは、Latticeが提供する主要機能とその活用効果について解説します。
パフォーマンス管理：評価プロセスの可視化と自動化
Latticeの中核となるのが、パフォーマンス管理機能です。従業員一人ひとりの評価状況や目標達成度をリアルタイムに可視化し、従来の手間のかかる評価プロセスを大幅に効率化します。評価フローの自動化により、管理職や人事担当者の作業負荷を軽減。カスタマイズ可能な評価テンプレートやスケジュール機能も備え、組織ごとの運用に柔軟に対応できます。
継続的なフィードバックとの連携により、単なる数値評価ではなく、成長を促す人事評価を実現します。
OKR/目標管理：継続的な目標設定とフィードバック
Latticeは、OKR（Objectives and Key Results）やSMARTゴール等、多様な目標管理フレームワークに対応しています。従業員やチームの目標を可視化し、進捗状況をリアルタイムでトラッキングすることで、評価の根拠が明確になります。
さらに、目標に対するフィードバックや振り返りを随時記録できるため、目標設定が形骸化せず、運用と改善のサイクルが自然と回る設計です。これにより、社員の自律性と業績の両立を図ることができます。
1on1・フィードバック記録機能：対話型マネジメントの実現
Latticeでは、1on1ミーティングの内容を記録・共有できる専用機能が用意されています。マネージャーとメンバー間の対話を定期的かつ体系的に行うことで、信頼関係の構築や問題の早期発見が可能になります。議題テンプレートや過去のやり取りの確認もできるため、形式にとらわれない質の高いコミュニケーションが促進されます。
また、個別のフィードバックを記録・蓄積することで、評価時の納得感や成長支援の精度も高まります。
社員エンゲージメント調査：データに基づく組織改善
Latticeは、従業員エンゲージメントを定量的に把握するためのサーベイ機能も提供しています。アンケートのカスタマイズや匿名性の確保により、社員の本音を引き出しやすく、部署ごとのエンゲージメントスコアの可視化が可能です。
そのデータを基に、離職リスクの予兆や組織課題の特定、施策の優先順位づけを行えるのが強みです。定期的なサーベイ実施によって、組織の変化や改善効果を継続的にモニタリングできます。
AI活用による評価の公平性と納得感の向上
Latticeでは、AIとデータ分析を活用した評価プロセスの強化にも注力しています。
例えば、フィードバック傾向の偏りを検出したり、社員ごとのパフォーマンストレンドを可視化することで、主観や属人的判断に依存しない「公平で透明性のある評価」が可能になります。
こうした機能は、マネージャーの意思決定支援にも貢献し、被評価者にも納得感をもたらします。結果的に、評価制度そのものへの信頼性が向上し、離職率の低下やエンゲージメント向上にもつながります。
Latticeを導入するメリット
Latticeは単なる人事評価ツールではなく、組織の生産性・エンゲージメント向上を支える包括的なプラットフォームです。評価業務の効率化にとどまらず、属人性の排除やマネジメントの質の向上、社員のスキル育成にも直結します。
ここでは、Latticeを導入することで得られる4つの具体的なメリットを紹介します。
評価にかかる時間の大幅削減
Latticeは評価プロセス全体をシステム化・自動化することで、従来の煩雑な手作業を大幅に削減します。紙やスプレッドシートを使った目標管理・フィードバック記録・評価集計といった工程を、すべてオンラインで一元化。
テンプレートの活用や評価スケジュールの自動通知により、マネージャーや人事担当者の負担を軽減し、作業効率が飛躍的に向上します。これにより、評価制度の運用が「負担」ではなく「成長支援の仕組み」として機能しやすくなります。
属人化の排除と透明性の向上
人事評価における課題としてよく挙がるのが、評価の属人化やブラックボックス化です。
Latticeでは、評価の根拠となるデータやフィードバックが可視化されるため、上司の主観だけに依存しない公平な評価が可能になります。評価コメントや1on1記録、OKRの進捗が蓄積され、過去の評価との一貫性も確認できるため、被評価者の納得感が高まります。透明性のある評価制度は、社員の信頼や組織へのエンゲージメント向上にもつながります。
社員の成長促進とスキル開発支援
Latticeは、単なる評価のためのツールではなく、社員の成長を支援するプラットフォームとして設計されています。OKR機能で明確な目標を設定し、フィードバック機能で進捗や成果を可視化することで、自己理解や行動改善を促します。
また、1on1記録やスキルマトリクスの蓄積により、上司は社員一人ひとりの強み・課題を把握しやすくなります。これにより、評価が「査定」ではなく「育成」の場として機能し、社員のパフォーマンス向上とスキル開発が加速します。
マネージャーの意思決定を支える分析機能
Latticeには、人材データを活用した分析機能が搭載されており、マネージャーや人事担当者の意思決定を支援します。たとえば、フィードバックの頻度や内容、評価の傾向、エンゲージメントの変化などをダッシュボード上で可視化し、チームや個人の状態を定量的に把握することが可能です。
これにより、主観では見落としがちな兆候に早期対応できるだけでなく、昇進・配置・育成方針の判断材料としても活用できます。戦略的な人材マネジメントを実現するうえで、非常に心強いツールです。
Latticeの導入事例と実績
Latticeは、スタートアップから中堅・成長企業まで、世界中で幅広く導入されている実績豊富なHRTechツールです。とくにテクノロジー業界やグローバル展開する企業においては、パフォーマンス管理と組織改善の両面で成果を上げています。
ここでは、代表的な導入事例をもとに、Latticeがもたらす効果について具体的にご紹介します。
海外スタートアップ企業での活用例
Latticeは、Slack、Asana、Reddit、Gustoなどの急成長スタートアップ企業で広く採用されてきました。これらの企業は、急拡大に伴う組織の複雑化や評価制度の属人化に課題を抱えていましたが、Latticeの導入により、目標の可視化や継続的なフィードバック文化を定着させることに成功しています。
特にOKRの進捗管理や1on1記録機能は、リモートワーク体制下でもマネジメントの質を維持するのに役立っており、社員のモチベーションとパフォーマンスの向上に寄与しています。
中堅企業での運用成果と効果
中規模企業においてもLatticeの活用は効果的です。従業員数100〜1,000人規模の企業では、評価プロセスの標準化とスピードアップが大きな課題ですが、Latticeの導入により、評価シートの配布・回収・集計といった作業がシステム上で完結し、作業時間を半分以下に削減した事例もあります。
また、継続的なフィードバックとエンゲージメント調査を活用することで、マネージャーと社員の間に健全な対話が生まれ、離職率の低下や人材の定着にも貢献しています。
AIによる人事評価の変化とは？
Latticeが注目される理由の一つに、AIとデータ分析を活用した人事評価の進化があります。従来の評価制度では上司の主観が入りやすく、公平性の欠如が課題でしたが、Latticeではフィードバック傾向や評価スコアの分布、OKRの進捗率などの客観的データをAIが可視化・解析。これにより評価のばらつきや偏りを早期に把握し、適切な修正を加えることができます。
結果として、社員の納得感が高まり、評価制度そのものへの信頼度が向上。人事部門の戦略的な意思決定にも有用なツールとなっています。
Latticeと他の人事評価ツールの比較
人事評価ツールは多種多様で、それぞれ強みや導入対象が異なります。Latticeは継続的な対話や社員エンゲージメントを重視したプラットフォームですが、Workday、BambooHR、HiBobといった競合ツールもそれぞれ特徴を持っています。
ここでは、主要3ツールとLatticeを比較し、自社に合った選定のポイントを整理します。
Lattice vs Workday｜柔軟性と直感的なUI
Workday
- 大企業向けの統合型HCM（Human Capital Management）ソリューションとして知られている
- 給与・勤怠・採用・人材育成など人事機能全体を包括している
Lattice
- パフォーマンスマネジメントと社員のエンゲージメント向上に特化
- 評価・目標管理・1on1などを直感的に操作できるユーザーインターフェースが強み
Workdayが複雑な業務要件に対応できる一方で、Latticeは導入や運用のしやすさに優れており、組織の柔軟な変化に対応しやすいという違いがあります。
Lattice vs BambooHR｜中小企業向け機能の違い
BambooHR
- 中小企業向けの人事管理ツールとして人気がある
- 社員情報の管理や勤怠、入退社管理などの基本的な人事機能をカバー
Lattice
- 管理機能よりも「評価」「フィードバック」「エンゲージメントサーベイ」に重点を置いている
- 育成型の人事評価を実現する設計
BambooHRは業務効率化に強みがありますが、Latticeは組織文化の醸成やマネジメント強化を目的とした企業に向いています。両者の役割は補完関係にあり、連携して使われることもあります。
Lattice vs HiBob｜エンゲージメント重視の観点から
HiBob（ハイボブ）
- エンゲージメントや従業員体験を重視した次世代型HRプラットフォーム
- 従業員のライフサイクルに寄り添った設計が特徴
Lattice
- エンゲージメント調査や1on1記録など、社員との継続的な対話を促す機能を多数備えている
大きな違いは、HiBobがHRIS（人事情報システム）としての役割も担っているのに対し、Latticeは「パフォーマンス管理に特化」している点です。エンゲージメントを可視化したうえで、評価制度の運用に落とし込みたい企業にはLatticeの方がフィットしやすいといえます。
日本市場におけるLatticeの可能性
Latticeは海外発の人事評価プラットフォームですが、日本の人事慣習やマネジメントスタイルにも適応しつつあります。属人化や形骸化が課題となりやすい日本の評価制度に対して、Latticeはデータ活用・継続的な対話・フィードバック文化を通じて、新たな運用モデルを提示しています。
ここでは、日本市場での適合性と今後の展開可能性について考察します。
日本の人事評価制度との相性
日本企業では、評価制度が「年功序列」や「期末一括評価」に偏る傾向があります。そのため、継続的な目標管理やリアルタイムのフィードバックが十分に活用されていないケースが多いです。
Latticeは、OKRや1on1支援、エンゲージメント調査といった機能により、評価を単なる査定から成長支援へと変えることが可能です。これにより、社員の納得感やエンゲージメントを高めやすく、日本型マネジメントと相性のよい“伴走型”の評価制度へと移行する支援ツールとして活用できます。
クラウド化から“運用フェーズ”への進化
日本企業では近年、人事評価のクラウド化が進んでいますが、多くのケースでは「システムを入れたことで満足してしまう」状態にとどまっています。
Latticeは単なるツール提供ではなく、「どう運用し、組織をどう変えるか」にフォーカスして設計されている点が大きな違いです。
マネージャーによるフィードバックの習慣化や、目標と評価の整合性を保つための仕組みが整っているため、制度の定着と成果の可視化を両立できます。今後、日本企業においてもクラウド化から“活用・運用フェーズ”へのシフトが加速する中で、Latticeはその流れを支える有力な選択肢となります。
今後期待される機能とローカライズ
日本市場における本格的な普及には、さらなるローカライズが鍵を握ります。
例えば、
- 日本語インターフェースの最適化
- 日系企業特有の評価項目・コンピテンシーに対応したテンプレート
- 年次評価と360度評価を組み合わせた設計等
こういった項目が求められます。また、評価結果を昇給や異動に反映させる運用フローへの対応も重要です。Latticeは現在もアップデートを重ねており、今後は日本の制度や企業文化に合った新機能の追加・サポート体制の強化が期待されています。これにより、日本企業での導入ハードルは一段と下がるでしょう。
よくある質問
Latticeの導入を検討する際、機能面や運用の柔軟性、システム連携、セキュリティに関する疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。ここでは、導入前によく寄せられる質問とその回答をまとめています。
Q. Latticeは日本語対応していますか？
Latticeは日本語インターフェースに対応しており、日本のユーザーでも直感的に操作が可能です。
管理画面や評価テンプレート、1on1記録機能など、主要な画面は日本語表示が用意されています。さらに、日本市場でのニーズに応じて、ローカライズが継続的に進められており、今後はより多くの機能が日本語で利用できるようになる予定です。
また、英語との併用も可能なため、グローバルチームでの運用にも適しています。日本語によるサポート体制についても、パートナー企業を通じて相談できる環境が整いつつあります。
Q. 他の人事・給与システムと連携できますか？
Latticeは他のHRシステムや給与・勤怠・労務系ツールとの連携にも対応しています。APIやZapierなどを活用することで、SmartHR、Workday、ADP、SAP SuccessFactorsといった主要なSaaSツールとのデータ連携が可能です。これにより、社員情報の二重管理を避け、評価結果を他システムに自動連携させることで、人事業務全体の効率化を図れます。
必要に応じて、CSVインポート・エクスポートや個別カスタマイズ対応も可能なため、自社のIT環境に合わせた柔軟な構築が可能です。
Q. セキュリティやプライバシー対策は大丈夫ですか？
Latticeは高いセキュリティ基準に準拠しており、企業の機密情報や従業員データを安全に管理する体制が整っています。データは暗号化された状態で保存・通信され、SOC 2 Type II や ISO 27001などの国際的な認証も取得済みです。
また、アクセス権限管理やログ監視、SSO（シングルサインオン）対応といった機能も備えており、大企業レベルのセキュリティ要件にも対応可能です。日本企業における個人情報保護法（PIPL）やGDPR対応にも配慮された設計になっており、プライバシー対策にも信頼性があります。
まとめ
Latticeは、評価の効率化・透明性・エンゲージメント向上を同時に実現できる革新的な人事評価プラットフォームです。OKR管理や1on1支援、AIによる分析機能を通じて、属人化しがちな評価制度をデータドリブンで再構築できます。日本語対応や自社制度への柔軟なカスタマイズも可能なため、クラウド型の人事評価ツールを探している企業には非常に有力な選択肢となるでしょう。
制度運用の定着や組織改善を本気で目指す企業にこそ、Latticeの導入はおすすめです。ぜひ本記事を参考に情報収集をしてみてください。
