Dayforceの人事評価機能とは?特徴・メリット・導入事例・評判について解説

目次

Dayforceとは?|統合型HCMプラットフォームの概要

Dayforce(デイフォース)は、グローバルで活用されている統合型HCM(Human Capital Management)プラットフォームで、給与計算・勤怠管理・労務管理などの人事業務をクラウド上で一元化します。

Ceridian社が開発・提供するSaaS型サービスで、日本国内でも法人向けに導入が進んでいます。データのリアルタイム連携による業務効率化や、多拠点・多言語対応など、柔軟な運用が可能な点が大きな特徴です。

以下では、Dayforceの概要について解説します。

給与・勤怠・労務を一元化するクラウドSaaS

Dayforceは、給与計算・勤怠管理・労務手続きなどを一元管理できる統合型クラウドSaaSです。従来バラバラに運用されていた各種人事業務をリアルタイムに連携させ、データの二重入力や転記ミスを防ぎます。

例えば、勤怠情報が自動で給与計算に反映されるため、人的ミスを最小限に抑えながら業務のスピードアップが図れます。

また、勤怠と労務管理の連携により、有給残数や労働時間の超過状況も即座に把握可能。日本の労働基準法への対応や多様な雇用形態への柔軟な設定も可能で、グローバル企業だけでなく国内企業にも適した機能を備えています。

グローバルに展開するCeridian社の信頼性

Dayforceを提供するCeridian(セリディアン)社は、北米を中心に世界中でHCMソリューションを展開するグローバル企業です。140ヵ国以上で導入実績があり、数万人規模の従業員を抱える大企業から中堅企業まで幅広く支持されています。

特に注目されているのは、リアルタイム処理エンジンを核とした技術力と、法制度の異なる各国に対応する柔軟な設計です。グローバル人材管理、コンプライアンス対応、多言語・多通貨機能など、国際展開を進める企業にとって安心のサポート体制が整っており、日本市場においても外資系企業を中心に導入が進んでいます。

日本法人「Dayforce Japan」の特徴とサービス体系

Dayforce Japanは、Ceridian社の日本法人として、国内企業向けにHCMプラットフォーム「Dayforce」の導入・運用支援を提供しています。日本の法制度や労働慣習に即したカスタマイズ対応に加え、日本語によるサポート体制が整っている点が特徴です。

サービスはモジュールごとに選択可能で、給与・勤怠・労務・人事評価・採用管理など、必要な機能だけを柔軟に導入できます。

また、導入時には専任のコンサルタントが要件定義から設定・運用定着までをサポート。クラウドベースでのスケーラビリティとセキュリティ対策も充実しており、中長期的に安定した人事運用を実現します。

Dayforceの人事評価機能|主な特徴とできること

Dayforceの人事評価機能は、目標管理(MBO/OKR)との連動やリアルタイムフィードバック、評価プロセスの自動化などを通じて、評価の透明性と効率を高める統合型ソリューションです。

属人化を排除し、組織全体の人材マネジメントの質を向上させる仕組みを備えています。クラウドSaaSとしてリアルタイムでデータを連携し、マネージャーと従業員の双方が使いやすい設計が特徴です。

ここでは、人事評価機能の特徴について解説します。

目標管理(MBO/OKR)と評価の連携機能

Dayforceでは、MBO(目標による管理)やOKR(目標と成果指標)といった目標管理手法を、人事評価プロセスと連携させる機能が搭載されています。従業員ごとに設定された目標を、評価期間中の進捗と紐付けて管理することで、成果に基づく公平な評価が可能になります。

また、組織目標と個人目標の整合性を可視化できるため、会社全体の戦略と現場の活動が一貫しやすくなります。さらに、上司と部下の面談記録やフィードバックも統合管理されるため、評価時の材料として活用可能。目標の達成度に基づく自動スコアリング機能も備えており、定量・定性の両面から納得感のある評価運用が行えます。

リアルタイムでのフィードバック・評価進捗の可視化

Dayforceでは、リアルタイムなフィードバック機能と評価進捗の可視化により、日常的なコミュニケーションを活かした人事評価が可能です。

従来のように評価期間終了後にまとめて振り返るのではなく、日々の成果や行動に対して即座に上司・同僚からのフィードバックを残すことで、業務改善やモチベーション向上にもつながります。

また、マネージャーは評価の進捗状況をダッシュボードで一目で把握できるため、対応漏れやバイアスの発生を防止。従業員自身も自己評価やフィードバックの履歴を確認でき、透明性のある評価運用を実現します。

このリアルタイム性により、パフォーマンスマネジメントを「年に一度の行事」から「日常的な成長支援ツール」へと変革します。

評価プロセスの自動化と属人化の解消

Dayforceの人事評価機能は、評価プロセスの自動化によって属人化の問題を解消します。評価テンプレートやスケジュールの一括設定、通知機能により、評価対象者・評価者双方への業務負荷を大幅に軽減。

例えば、評価依頼の送付、締切リマインド、集計処理などをシステムが自動で行うため、評価実施の抜け漏れが起こりません。

また、評価コメントや点数の一貫性を保つためのチェック機能もあり、評価者ごとの基準ブレを防止。過去の評価結果やフィードバック履歴も一元管理されることで、継続的な成長支援にも活用できます。

評価制度の運用に課題を抱える企業でも、Dayforceを導入することで仕組みとしての公平性と効率性が手に入ります。

他社ツールとの比較|Dayforceの強みと差別化ポイント

Dayforceは、給与・勤怠・労務から人事評価や人材育成までを一元化できる統合型HCMプラットフォームとして、他社ツールとの差別化を図っています。SuccessFactorsやWorkdayとの機能比較はもちろん、日本市場での導入実績やWorkcloudとの使い分けにおいても優位性を発揮。評価制度と報酬設計、人材育成を一体化できる設計思想が、Dayforce独自の強みといえます。

ここでは、Dayforceの強みと他社ツールとの差別化ポイントをお伝えします。

SuccessFactors・Workdayとの違い

SuccessFactorsやWorkdayもHCM(人材管理)領域におけるグローバルスタンダードなツールですが、Dayforceはその中でもリアルタイム処理と統合性において大きな違いを持ちます。

  • Workday:モジュール間でデータが分かれているケースが多く、各機能の連携にやや時間がかかることがある
  • Dayforce:給与・勤怠・評価・労務などがリアルタイムで一元化されており、データ反映のタイムラグがなく、常に最新の情報で判断が可能
  • SuccessFactors:SuccessFactorsと比較すると、Dayforceは評価プロセスから報酬への連動がより自動化されているため、従業員のパフォーマンスと報酬が直結する設計を取りやすいという利点がある

運用効率と精度の両立を図る企業にとって、Dayforceは有力な選択肢です。

Workcloudとの関係性と使い分け

Workcloud

  • Ceridian社が提供するもう一つのサービスであり、日本市場に最適化された勤怠・給与中心のソリューション
  • 中堅・中小企業や、まずは給与・勤怠の効率化から始めたい企業に向いており、シンプルなUIと運用のしやすさが特徴

Dayforce

  • グローバル対応の統合型HCMであり、評価・人材育成・人事戦略の高度な設計までをカバー
  • 評価制度設計や人材開発を重視する企業に適しており、拡張性と分析機能に優れた設計がなされている

日本法人であるDayforce Japanでは、両サービスの特徴を把握したうえで企業の成長フェーズや課題に応じた最適な導入提案が行われており、両ツールは排他的ではなく、ニーズに応じて使い分けることが可能です。

評価制度・報酬・人材育成を一体で設計可能

Dayforceの最大の強みの一つが、人事評価制度と報酬制度、さらには人材育成の各要素を一体で設計・運用できる点です。

評価結果に応じて自動的に報酬テーブルを反映させる仕組みや、スキルマトリクスを活用した人材開発プランとの連携等、データドリブンな人事戦略が実現できます。多くの企業では、評価は評価、研修は研修と別システムで管理されがちですが、Dayforceではそれらを統合管理できるため、各プロセス間の齟齬を防ぎつつ、戦略的人材マネジメントを推進できます。

また、育成対象者の選定やリーダー候補の可視化も容易になり、経営戦略に連動した人材開発が可能となります。単なる評価ツールではなく、包括的な人材戦略プラットフォームとして活用できるのがDayforceの特徴です。

Dayforceの人事評価を導入した企業事例

Dayforceの人事評価機能は、さまざまな業種・規模の企業で導入が進んでおり、属人化の解消や評価の公平性向上、グローバル拠点の一元管理といった多様な課題を解決しています。

以下では、IT企業、製造業、外資系企業の3つの事例を通じて、Dayforce導入による効果と活用ポイントを具体的にご紹介します。

IT企業A社|属人化を解消し、評価業務を効率化

IT企業A社では、従来の人事評価が部門ごとに異なる運用をしており、評価基準のバラつきや進捗管理の煩雑さが課題となっていました。特にマネージャーごとに評価の質に差が出るなど、属人的な運用が人事部門の悩みでした。

Dayforce導入後は、評価テンプレートやスケジュールを一元化することで、評価フローの自動化と統一化を実現。リアルタイムでの進捗可視化により、管理職の対応漏れもなくなりました。

また、評価コメントやフィードバックの履歴も蓄積されるため、振り返りや育成支援にも活用できる体制が整いました。属人化の解消に加え、評価実施率と業務効率が大幅に向上した事例です。

製造業B社|人事データ連携により公平性を担保

製造業B社では、従業員のスキルや勤務態度を定量的に評価する制度を導入していたものの、評価と報酬、勤怠データとの連携が取れておらず、評価結果に対する納得感に課題がありました。

Dayforceを導入することで、勤怠データ・業務実績・評価内容をリアルタイムで統合。客観的な数値と定性評価を組み合わせることで、従業員一人ひとりの実績に基づく評価が可能となりました。また、従業員自身が自身の評価履歴や目標の進捗を確認できるようになり、評価の透明性が向上。評価と報酬制度の連携も自動化され、公平性・納得感のある制度運用が実現しました。

生産性とエンゲージメントの両面で成果を上げた好例です。

外資系C社|グローバル対応で海外拠点も一括管理

外資系の多国籍企業C社では、各国拠点ごとに異なる人事評価ツールを使用しており、グローバル全体での一元的な評価運用が困難でした。評価基準やスケジュール、実施方法に差異があり、経営陣による組織全体のパフォーマンス把握にも限界がありました。

Dayforceの導入により、全世界の拠点で同一の評価フレームワークを運用できるようになり、多言語・多通貨・各国の法令対応にも柔軟に対応。リアルタイムで本社と各拠点の人事データを連携させることで、評価のばらつきや情報の断絶を解消しました。

経営戦略と連動したグローバル人材マネジメントが可能になり、グローバル企業におけるHCM導入の成功事例となっています。

導入前に知っておきたい注意点

Dayforceは高機能な統合型HCMプラットフォームですが、導入効果を最大化するには事前にいくつかの注意点を把握しておくことが重要です。制度設計との整合性や海外製品ゆえの設定プロセス、日本法人のサポート体制の確認など、スムーズな運用には事前準備が不可欠です。

ここでは、導入前に押さえておくべき3つのポイントを解説します。

制度設計との整合性が求められる

Dayforceはカスタマイズ性に優れたHCMプラットフォームですが、自社の評価制度や運用ルールと整合性が取れていない場合、導入効果が十分に発揮されない可能性があります。

特に、目標管理(MBO/OKR)、コンピテンシー評価、報酬連動のルールなどが明確に整理されていない状態で導入を進めると、設定作業や運用時に混乱を招くことがあります。そのため、導入前には既存の人事制度を棚卸しし、どの機能をどのように活用するかを明確化する必要があります。

場合によっては、評価制度そのものを見直し、システムと合わせて再設計することも検討しましょう。制度とツールの連携が取れてこそ、Dayforceのメリットが最大限に活きてきます。

海外仕様により初期設定に時間がかかるケースも

Dayforceはグローバルで広く導入されているSaaS型のHCMツールであり、標準仕様が北米市場を前提とした設計になっている部分もあります。そのため、日本の労働法や就業慣習、評価文化に合わせたカスタマイズや設定調整に時間がかかる場合があります。

例えば、

  • 勤怠の打刻ルール
  • 残業計算
  • 有休管理の扱い等

こういった日本独自の運用にフィットさせるためには、専門知識を持った導入パートナーやコンサルタントの支援が必要になることもあります。また、UI(画面構成)が英語中心のまま導入されるケースもあるため、社内ユーザーのITリテラシーを考慮したトレーニング設計も重要です。スケジュールやリソースに余裕を持った導入計画を立てましょう。

サポート体制やカスタマイズ性の確認が重要

Dayforceを安心して導入・運用するためには、日本語によるサポート体制や、各機能のカスタマイズ可否を事前に確認しておくことが不可欠です。

海外製のHCMツールでは、ベンダーとのやり取りが英語になるケースもあり、トラブル発生時の対応に時間がかかる可能性があります。ただし、Dayforce Japanによる導入支援や問い合わせ対応を活用すれば、多くの課題はクリアできます。

また、企業によって必要とする評価項目やフローは異なるため、テンプレートの編集自由度や承認フローの設計範囲など、どこまで自社仕様に適合できるかも事前に確認すべきポイントです。導入パートナーの選定や、トライアル期間での検証を通じて、自社に最適な運用体制を整えていきましょう。

よくある質問

ここでは、Dayforceの導入を検討する企業からよく寄せられる質問をまとめました。中小企業での活用可否、日本語対応、他システムとの連携、カスタマイズ性など、導入前に不安を感じやすいポイントを丁寧に解説しています。自社への適合性や導入メリットを正しく理解するために、ぜひ参考にしてください。

Q. 中小企業でも使えますか?

Dayforceは中小企業でも十分に活用できます。一般的に「グローバル企業向け」という印象を持たれがちですが、モジュール単位での導入が可能なため、自社に必要な機能だけを選んで運用できます。

特に、評価制度の仕組み化や属人化の解消を図りたい企業にとっては、シンプルな構成から始めることで業務効率化に直結します。

Dayforce Japanでは中小企業向けの導入支援も行っており、制度設計や初期設定、運用定着までを一貫してサポート。将来的に人材管理や報酬制度の高度化を目指す場合にも、段階的な拡張が可能なため、成長フェーズに応じた柔軟な運用が実現できます。

Q. 日本語対応やサポート体制はどうなっていますか?

Dayforceは日本語インターフェースに対応しており、国内拠点であるDayforce Japanがサポート業務を担っています。日本企業向けにカスタマイズされた導入支援・トレーニング体制が整っており、導入後の問い合わせや障害対応も原則日本語で受け付けています。

また、導入時には専任のプロジェクトマネージャーやコンサルタントが付くため、評価制度の設計や設定作業、トライアル運用まで丁寧にサポートしてもらえます。グローバル製品でありながら、日本国内で安心して利用できる体制が構築されている点は、Dayforceの大きな強みのひとつです。英語が苦手な現場の従業員でも安心して利用できるよう、UIのわかりやすさにも配慮されています。

Q. 他の給与・労務システムと連携できますか?

Dayforceは他の給与・労務系システムとも柔軟に連携可能です。APIやCSVインポート/エクスポートによるデータ連携に対応しており、既存の会計ソフトや給与計算ツール、勤怠管理システムとのデータ同期がスムーズに行えます。これにより、複数のシステム間での転記作業や手動集計といった手間を削減し、業務効率を大幅に改善できます。

また、海外本社で利用しているERPやHCMツールと連携させるケースも多く、グローバル環境でも柔軟な運用が可能です。連携範囲や方法は導入時にカスタマイズできるため、自社のIT環境や業務フローに合わせた構築が行えます。複数ツールを併用する企業にとって、連携性の高さは大きなメリットです。

Q. 評価シートや目標項目のカスタマイズは可能ですか?

Dayforceでは評価シートのフォーマットや目標項目、評価基準などを柔軟にカスタマイズすることが可能です。テンプレート形式で評価項目を設計でき、職種別・階層別に異なる評価シートを設定することもできます。

また、MBOやOKRといった目標管理フレームワークにも対応しており、組織目標と個人目標の紐付けや進捗管理もシステム上で簡単に行えます。さらに、評価スケジュールの設定、承認フローの構築、評価結果に基づいた報酬シミュレーションなど、運用全体を支える仕組みが整っており、自社の評価制度に合わせて最適な形で設計・運用できます。

運用しながら柔軟に設定を見直せる点も、評価業務の属人化解消に役立ちます。

まとめ

Dayforceは、給与・勤怠・労務から人事評価・人材育成までを一元化できる統合型HCMプラットフォームです。MBOやOKRとの連携、評価の自動化、グローバル対応など、多様な企業ニーズに応える柔軟性が特徴です。

中小企業から多国籍企業まで導入実績があり、日本語対応やカスタマイズ性にも優れています。制度設計との整合性や初期設定の確認を行った上で導入することで、より高い効果が期待できます。本記事を参考に人事評価のツールをご検討下さい。

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