「評価は“点をつける”ことではなく気づきを与える」360度フィードバック「360(さんろくまる)」を磨き続けたFusicが語る組織が変わる設計

目次

はじめに

「評価は“点をつける”ことが目的ではない」。そうした想いのもと、管理職育成やフィードバック文化の定着を支援する360度フィードバックサービス「360(さんろくまる)」を手がけるのが、株式会社Fusic(フュージック)です。

サービス開始から約15年、蓄積されたノウハウをもとに、組織に“気づき”をもたらす「360(さんろくまる)」。「直感的に伝わるUI」誰が見ても理解しやすく、フィードバックの受け手・送り手双方にとって心理的ハードルが低いという特徴があり、その“わかりやすさ”が、社内浸透のスピードを加速させています。ご利用用途は幅広く評価・育成・昇降格のバックチェックまでにわたります。

今回は同社の澤井さんに、導入企業の傾向やうまく浸透させる設計のコツ、実施後に見えてくる効果までを詳しく聞いてみました。

自己紹介

ではまず簡単に澤井さんの自己紹介をお願いします。

澤井さん

株式会社Fusicの澤井と申します。私は中途でFusicに入社し、現在は360(さんろくまる)のコンサルタントとして業務を担当しております。具体的には、人事評価制度や360度フィードバックの導入を検討されている企業様へのご案内から、導入後の運用サポートまでを担当しています。

会社・サービス概要

次に御社の会社概要とサービス内容を教えてください。

澤井さん

当社は360度フィードバックサービス「360(さんろくまる)」を提供しており、リリースから約15年になります。ご利用用途は幅広く人材育成、人事評価の補完だけでなく、育成、昇降格時のバックチェックなどにも活用いただいています。さまざまな業界・規模の企業様にフィットするよう、設計や運用面の柔軟性を重視してきました。

プロダクトの「売り」を一言で言うと?

澤井さん

結果が直感的に伝わるUIです。被評価者はどのようにフィードバックを受けているのかがひと目で理解でき、評価者も簡単に回答が可能です。そのため、受け手・送り手双方の認知的ハードルが低く、何よりも「わかりやすさ」は、現場浸透のスピードにも直結すると考えています。

立ち上げ背景

「360(さんろくまる)」は、もともとシステム会社として自社開発されたプロダクトとのことですが、なぜ“人事評価”という領域に注目されたのでしょうか。

澤井さん

実は、最初から自社で構想していたというよりも、「360度評価やフィードバックを行える仕組みを作ってほしい」という企業からの依頼が出発点でした。そこから日本でも「360度フィードバック」「多面観察」といった考え方が広がり始めていたタイミングでもあったので、サービスとして本格展開することになりました。

つまり、当初から市場ニーズに基づいたプロダクトだったわけですね。

澤井さん

そうですね。まさに現場の声から生まれたツールだと思っています。

導入企業の傾向・課題

導入企業はエンタープライズが多い印象ですが、導入企業の特徴はありますか?

澤井さん

企業規模でいうと幅広いです。よくいただくお声としては、「評価が形骸化し、育成に結びついていない」という悩みです。特に管理職育成の文脈で、上司が部下・同僚・上司からどう見られているかを可視化し、研修や育成の方向性を決めたいというニーズが強いです。

大企業から中小企業まで幅広く導入されていると思いますが、それぞれで感じる課題の違いはありますか?

澤井さん

そうですね。大企業様は制度設計や評価の仕組み自体はしっかり整っている印象を受けます。ただ、規模が大きいため細かいサポートまでは至っておらず研修や評価が形骸化しているケースも見受けられます。

一方で中小企業様の場合は、コミュニケーションが属人的になりやすく、生産性にムラが出やすい傾向があります。スキルやノウハウが個人に依存してしまっているケースも多く、そこを課題として360度フィードバックを導入される企業が目立ちます。

また業界で見ると、例えば情報通信業界では、リモートワーク中心の働き方が進んでおり「上司が部下を本当に正しく評価できているのか」という不安から、チームメンバー同士のフィードバックを取り入れたいというニーズが強いですね。逆に、現場密着型の業界ではコミュニケーションは活発でも評価の仕組みが曖昧で、その“仕組み化”の部分を支援することが多いです。

360(さんろくまる)がフィットしやすい企業とは

御社は360(さんろくまる)をどのように捉え、どんな企業にフィットすると考えていますか。

澤井さん

360(さんろくまる)は「評価」だけでなく、「育成」の観点でご利用されている企業様の方が多いです。一般的な評価に課題を感じ、「多面的な視点を取り込みたい」という企業からのご相談が中心で、当社からのアウトバウンドはしていません。結果として、ニーズがはっきりしている企業に導入される比率が高いですね。

また、チームで価値を生み出す仕事ほど効果が出やすいです。個人競技に近い産業(例:一部の不動産・保険など)は、他者を日常的に観察する機会が少なく、フィードバックが集まりにくいことがあります。ただし「合わない」というより、目的設定と土台づくり次第で成果は出てきます。

比較検討されるツールやサービスとは

企業が導入を検討する際、他に比較されるツールやサービスはありますか。

澤井さん

大きく分けて二つのパターンがあります。
ひとつは、当社と同じように「360度フィードバック」に特化した専用ツール同士の比較。もうひとつは、タレントマネジメントシステム(TMS)に付帯している360度フィードバック機能との比較です。

当社の場合、360度評価に特化しているからこその使いやすさや、導入・運用のしやすさ、なにより約15年という実績を通した効果の提供を評価していただくことが多いですね。特に、「まずは360度フィードバックだけをしっかり回してみたい」という企業様には、シンプルに導入できる当社の仕組みがフィットしやすいと感じています。

導入後に予期せぬトラブルなどはありますか。

澤井さん

大きなトラブルはほとんどありません。お問い合わせいただく段階で、企業側がすでに「対象者」「設問」「目的」などが明確になっているケースが多く、初回打ち合わせの時点でそれらをしっかり整理してから進めています。

360(さんろくまる)を継続する企業と離脱してしまう企業の違い

継続的に360(さんろくまる)を使う企業と離脱してしまう企業の違いはありますか。

澤井さん

要因は「システム面」と「制度面」の2つです。

システム面では、組織規模の拡大にあわせて、HCM(人材管理システム)を導入し、その中に含まれる360度フィードバック機能に切り替えるケース。制度面では、数年で相互フィードバックが文化として根づき、「目的達成により一旦停止」という判断が生まれるケースです。後者は停止後も続ければ気づきは得られますが、いったんの到達点と捉える企業もあります。

問い合わせをしてくる企業の割合

先ほど、「360度フィードバックを導入したい」という企業からの問い合わせが多いと伺いました。実際には初めて導入する企業と、他社から乗り換える企業の割合はどのくらいでしょうか?

澤井さん

肌感覚では、初めて導入する企業が6〜7割ほどですね。残りの3〜4割が、すでに他社ツールで実施していて「より運用しやすい仕組みに変えたい」という企業です。最近は初めて360度フィードバックを導入する企業が確実に増えていて、評価や育成への関心の高まりを実感しています。

ということは、「そもそも360度フィードバックとは何か」という説明から始まるケースも多いのですね。

澤井さん

そうなんです。まずは「360度フィードバックの目的」や「どのように社内へ浸透させるか」などの基本的なレクチャーからスタートします。他社の話を聞いた上で検討されている企業も多いのですが、最初のステップとして、自社の現状に合わせたやり方を一緒に整理することが大切だと考えています。

導入までの期間と導入後の継続的なサポート

実際に導入までには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?

澤井さん

平均すると、お申し込みから約2か月で実施開始できます。導入前には目的共有・設問設計・社内ガイダンスの支援などを行い、実施後も振り返りやアフターフォローを継続しています。企業によって体制や社内理解の進み具合が異なるため、「安定的に運用できるまで」の期間は一概に言えませんが、導入後も企業に寄り添いながら、運用改善まで継続的にサポートしています。

単にツールを導入して終わりではなく、導入後もご支援されている印象ですね。

澤井さん

そうですね。360度フィードバックは一度実施しただけでは効果が出にくい制度です。初回の設計と運用サイクルをどう作るかが成否を分けるので、最初の2か月はもちろん、その後も企業ごとに最適な運用を続けていくことが重要だと思っています。

2021年リブランディングを実施された背景

 会社資料を拝見したのですが、2021年にリブランディングを実施されていますよね。その決断に至った背景や理由を教えてください。

澤井さん

私は当時そのプロジェクトには直接関わっていなかったのですが、プロダクトをひとつの独立した事業として確立させるという意図が大きかったと聞いています。

体制の整備や意識改革を含め、まさに“プロダクトドリブン”への転換期だったわけですね。

澤井さん

はい。単なるサービス提供ではなく、事業としての自立性を持たせるフェーズに移ったタイミングだったと捉えています。リブランディング以降は、開発・運用・サポートの連携もより密になり、ユーザーに対してより一貫した価値を届けられる体制に進化してきたと感じています。

自社内での360(さんろくまる)の活用について

御社では「360(さんろくまる)」を活用されていますか。

澤井さん

全社員を対象に半期の振り返りとして360(さんろくまる)を活用しています。人事考課・査定には直結させない設計です。弊社では、回答してほしい相手を指名できる柔軟な運用を取り入れており、同じチーム以外の関わりのあるスタッフからのコメントで同じ指摘が重なると納得度が増す、という効果を感じています。

御社が導入している「指名制」は他社にも勧めますか。

澤井さん

社内の文化に合えば有効ですが、万人に勧めるやり方ではありません。関係性の土台がないと「誰も選ばない/選ばれない」が起きかねないと思っています。まず一般企業には管理者による割当を軸に、希望者を併用する設計を勧めています。初回は特に、目的・基準定義・良いフィードバックの出し方を整えてから始めるのが肝要です。

360(さんろくまる)を導入するにあたっての現場の反応とは

360(さんろくまる)を導入するにあたって、現場側の反応はいかがですか。

澤井さん

初回のガイダンスでは「本当に意味があるのか?」という声が上がることもあります。ところが2回目、3回目とガイダンスの数を重ねるうちに、「こういった結果が出たのだが、どう読み解いて行動していけばよいか」といった前向きな質問が増えていくんです。目的の共有とフォロー体制で、質問の質が明確に変わっていきます。

どんな企業に360度フィードバックが合うのか

ちなみにどんな企業が360度フィードバックという制度が合いますか。

澤井さん

どの組織でも成果は生み得ますが、チームで成果を出す業務ほど効果が出やすいと考えます。一方、極めて個人主義的な成果主義の業界では、他者観察の機会が少なくフィードバックが集まりづらいことがあります。設計次第で打ち手はありますが、効果の出やすさという意味では差が出ます。なお、360度フィードバックは日本特有ではなく海外でも一般的な制度です。

中長期で見た「360度フィードバック」の価値とは

5年〜10年先を見据えた「360度フィードバック」の価値について教えてください。

澤井さん

一般論ですが、「360度フィードバック」を実施することで組織定着率が14.9%あがったケースなども聞きます。1on1など人への投資を組み合わせるとチーム生産性の向上にもつながり、採用・退職の機会費用を考えると、財務的にも合理性のある打ち手です。今後は、360度フィードバックに限らず「会社のチーム力を底上げする」ための仕組みづくりに挑みたいと考えています。

導入を迷う企業へ——「違和感」を感じたタイミングが好機

最後に、導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

澤井さん

「成長が停滞している/職場の雰囲気に違和感がある/何か新しいムーブを起こしたい」そんなサインが出ているなら、まずは一度ご相談ください。そんなタイミングで360(さんろくまる)を起点に組織を動かすお手伝いができればと思っています。360度フィードバックという制度特化型としての実績と運用年数があります。最初の一歩から弊社が伴走します。

インタビューを終えて

今回のインタビューを通じて感じたのは、「360度フィードバック」に特化しているからこその深みと実践力でした。

Fusicさんの「360(さんろくまる)」は、まず360度フィードバックとは何かを正しく理解したい、あるいは360度フィードバックだけを一度しっかり運用してみたいという企業にとって、非常におすすめできるサービスです。

お客様の声から生まれたプロダクトだからこそ、誰でも直感的に使える操作性があり、単なる「評価して終わり」ではなく、多角的な視点から自己成長や組織の成長を促す仕組みとして磨かれています。また、360度フィードバックの大きな魅力は、自分では気づけなかった「気づき」に出会えること。他者の視点を通して自分の強みや課題を再認識できる点は、まさにこの仕組みの本質的な価値だと感じました。

「最近、職場に少し違和感がある」

そんな小さなサインを感じたときこそ、変化を起こすチャンスです。360(さんろくまる)は、その“はじめの一歩”を後押ししてくれるツールです。

「評価を育成につなげたい」「組織の関係性を可視化したい」

そんな課題を抱える企業に、Fusicさんの「360(さんろくまる)」は最適な選択肢のひとつだと思います。


インタビュー協力会社:株式会社Fusic

株式会社Fusicは、クラウド、AI・機械学習、IoT、Webアプリ開発、UI/UXデザインなどを組み合わせる”技術結合力”を武器に、お客様の課題を解決するシステム開発および技術コンサルティングを行っています。近年では、宇宙・衛星開発企業に向けたクラウド基盤構築や衛星データ解析の支援など、宇宙ビジネスにも注力。さらに、自社開発プロダクトを提供し、社会や企業が抱えるさまざまな課題を技術の力で解決しています。

「360(さんろくまる)」は、上司・同僚・部下など多面的な視点からのフィードバックを通じて、社員一人ひとりの“気づき”と“変化”を促すツールです。15年以上の提供実績の中で、業種・業界・組織規模問わずご支援させていただいています。シンプルで使いやすい設計と、現場に寄り添う運用サポートが高く評価されています。

ブランドスローガンに「OSEKKAI×TECHNOLOGY」を掲げ、お客さまのご要望に向き合い、伴走しながら、期待を超える価値をお届けすることを大切にしています。

会社URL:株式会社Fusic

360度評価ツール:360度フィードバックサービス「360(さんろくまる)」


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