1on1ミーティングのテーマとは?|目的別の話題例と選び方のポイントを徹底解説

目次

1on1ミーティングとは?話す内容に「目的」が必要な理由

1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に1対1で行う対話の場です。ただの雑談や業務確認にとどまらず、「目的」を明確にしたテーマ設定が重要です。目的を持つことで、部下の成長支援や信頼関係の構築、組織全体の活性化につながります。「何を話すか」を事前に整理することで、実りあるミーティングへと導けます。

1on1の基本的な目的|成長支援・信頼構築・組織活性化

1on1ミーティングの本質的な目的は、部下の成長を促し、上司との信頼関係を築くことにあります。業務上の悩みやキャリアへの不安を共有することで、個々の課題に合わせたサポートが可能となり、モチベーション向上にもつながります。

また、1on1は単なる報告の場ではなく、部下の本音を引き出し、組織全体の雰囲気やチームワークを改善するきっかけにもなります。1on1を継続することで、心理的安全性の高い職場環境が醸成され、結果として離職率の低下や生産性の向上といった好影響を生み出します。目的を明確に持ち、信頼ある対話を積み重ねることが、効果的な1on1には欠かせません。

人事面談・評価面談との違いとは?

1on1ミーティングと人事面談・評価面談は混同されがちですが、目的も運用も大きく異なります。

評価面談は通常、半期や年次単位で実績を振り返り、昇給や昇格などの人事評価を行うためのフォーマルな場です。

一方、1on1はもっと頻度が高く、部下の感情や意見、成長のサポートを目的とした日常的なコミュニケーションの場です。評価面談では言いづらいことでも、1on1では気軽に話せるという安心感が重要であり、心理的安全性の向上にもつながります。

面談の種類目的頻度特徴
1on1ミーティング部下の成長支援、信頼関係構築、日常的なコミュニケーション高頻度(週次〜月次)部下の感情や意見を尊重、心理的安全性の確保
評価面談実績振り返り、人事評価(昇給・昇格など)半期〜年次フォーマルな場、実績に基づく評価

この違いを理解し、1on1を「評価の場」ではなく「信頼を深める場」として活用することが、上司・部下間の関係性をより良くする鍵となります。

「話すことがない」を防ぐためのテーマ設定の重要性

「1on1で話すことがない」という悩みは、上司・部下の双方でよく聞かれる課題です。この原因の多くは、テーマが曖昧だったり、目的が共有されていないことにあります。事前に話すテーマを設定することで、ミーティングの方向性が明確になり、時間を有効に使うことができます。

例えば、キャリアの悩み、業務の課題、モチベーションの波など、部下の状況に応じた話題を選ぶことで、自然な対話が生まれます。また、テーマを共有しておくことで、部下も心構えができ、準備しやすくなります。信頼関係の構築や業務改善を進めるためにも、テーマ設定は1on1成功の土台といえるでしょう。


部下との関係を深める!1on1テーマ【カテゴリ別一覧】

1on1ミーティングを効果的に進めるためには、目的に合ったテーマ設定が欠かせません。信頼関係の構築や業務改善、モチベーション向上など、1on1で扱うべき話題は多岐にわたります。

ここでは、部下との対話を深めるために役立つ1on1テーマをカテゴリ別にご紹介します。話題の幅を広げることで、より実りあるコミュニケーションが可能になります。

プライベート・雑談|趣味・休日・最近の出来事など

1on1の冒頭では、趣味や休日の過ごし方など、プライベートに関する雑談を交えることで、リラックスした雰囲気をつくることができます。業務の話題に入る前に自然な対話ができると、部下も本音を話しやすくなり、心理的安全性の向上につながります。また、普段見えにくい価値観や関心事を知ることで、上司としての理解も深まり、日常のマネジメントに活かせます。

例えば

  • 「最近観た映画は?」
  • 「週末は何をしていた?」

こういった簡単な問いかけが、1on1の空気を和らげる第一歩になります。

体調・メンタル面|コンディションや働き方に関する話題

体調やメンタルの状態についての話題は、1on1ミーティングにおいて非常に重要です。特にリモートワークや繁忙期など、部下の様子が見えにくい環境では、上司が積極的にコンディションを確認する姿勢が求められます。

例えば

  • 「最近よく眠れていますか?」
  • 「疲れは溜まっていませんか?」

こういった質問は、部下の負担軽減にもつながります。また、働き方に関する不満や希望を聞くことで、無理のない業務配分や柔軟な対応が可能となり、長期的なエンゲージメント維持にも役立ちます。

業務改善・課題共有|業務上の悩み・成功体験・工夫

日々の業務で感じている課題や改善アイデアを共有することは、1on1の大きな価値の一つです。現場で起きている小さな違和感や悩みを早期にキャッチすることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

また、部下が取り組んだ成功事例や工夫についても聞き出すことで、自信を持たせたり、他チームへの展開も可能になります。

例えば

  • 「今、業務で困っていることは?」
  • 「最近うまくいったことは?」

具体的な質問を通して、実務に直結した対話が生まれます。

目標と評価|設定した目標の進捗と評価に関する振り返り

1on1は、日常の目標管理と評価のすり合わせにも最適な場です。事前に設定した目標に対する進捗確認を行い、以下の点を一緒に整理することで、早期改善やモチベーション維持につながります。

  • 「今どこまで進んでいるか」
  • 「壁になっていることは何か」

ただし、ここで重要なのは、評価するための場ではなく、目標達成の“支援”の場であるという意識です。「何ができていないか」よりも「どうすればできるか」にフォーカスし、建設的な会話を心がけましょう。目標が曖昧になっている場合は、リフレッシュの機会として再設定も有効です。

キャリア・スキルアップ|将来の展望・学びたいこと

部下のキャリア形成をサポートするうえで、将来の展望や身につけたいスキルについて話し合うことは非常に有意義です。

例えば

  • 「3年後、どんな仕事をしていたいですか?」
  • 「最近、挑戦してみたいことは?」

このような問いを投げかけると、自分のキャリアに対する意識が自然と高まります。また、今の業務と将来の目標とのギャップを明確にすることで、必要なスキルや経験が見えてきます。上司はアドバイザーとして、学習機会や社内制度の紹介を通じて背中を押す役割を果たしましょう。キャリアに関する対話は、信頼構築だけでなく、長期的な離職防止にも効果を発揮します。

会社の方針・戦略共有|ビジョンや経営層のメッセージの理解度

会社のビジョンや方針に対する理解を深めることも、1on1で扱うべき重要なテーマです。特に経営層からのメッセージや新たな戦略が発表された直後は、以下の点について部下の理解度や納得度を確認することが大切です。

  • 「どう感じたか」
  • 「自分の業務にどう関係すると思うか」

経営と現場の間にあるギャップを埋めることで、部下の納得感や当事者意識が高まり、組織の一体感が生まれやすくなります。上司が自分の言葉で方針を補足し、具体的な行動への落とし込みを促すことで、ただの通達で終わらない、実践的な対話が可能になります。

モチベーション・やりがい|やる気を高める要因と不安要素

部下が何にやりがいを感じ、何がモチベーションを低下させているのかを把握することは、マネジメントにおいて非常に重要です。

例えば

  • 「最近、楽しいと感じた仕事は?」
  • 「逆に気が重い業務は?」

こういった質問を通じて、部下の本音を引き出すきっかけを作りましょう。やる気の源泉は人それぞれですが、本人の言葉で確認することで、的確なサポートや業務配分がしやすくなります。また、不安や不満に対して真摯に耳を傾けることで、「聞いてもらえた」という満足感が信頼感へとつながります。定期的にこのテーマを取り上げることで、長期的なパフォーマンス維持にもつながります。


1on1のテーマを選ぶときのポイント

1on1ミーティングを効果的にするには、適切なテーマ選びが欠かせません。ただ雑談するのではなく、「どんな目的で」「何をゴールとするか」を意識することで、対話の質が大きく変わります。部下の性格や状況に合わせてテーマを柔軟に設定すること、そして同じ話題を継続的に扱う工夫も、信頼関係と成長を後押しする重要なポイントです。

目的とゴールを意識したテーマ設定が鍵

1on1で最も重要なのは「何のために話すのか」という目的を明確にすることです。漠然と話し始めると、時間だけが過ぎて何も得られなかったという事態になりかねません。

例えば

  • 部下のキャリア支援が目的:「将来やってみたい仕事」や「今の業務で伸ばしたいスキル」などがテーマ。
  • 業務改善がゴール:現在のタスクの進捗やボトルネックについて聞くべき。

目的を意識したテーマ設定は、ミーティングの方向性を明確にし、話し手・聞き手双方にとって有意義な時間にする鍵です。1on1を習慣化する中で、毎回の目的とゴールを意識する癖をつけておくと、継続的な成長支援がしやすくなります。

部下の性格・状況に応じて話題を柔軟に選ぶ

1on1のテーマは、部下の個性や現在の状況に応じて柔軟に調整すことが大切です。

  • 内向的で話すのが苦手な部下:業務に直結する話題よりも、趣味や最近の出来事など、話しやすい雑談から入るのが効果的です。
  • 積極的な部下:キャリアや新しい挑戦について深く掘り下げるテーマが適しています。

また、プロジェクトの繁忙期や異動直後など、タイミングによっても最適なテーマは変わります。常に画一的なテーマで進めるのではなく、相手に合わせたアプローチを心がけることで、1on1の信頼度が高まり、部下も「ちゃんと自分を見てくれている」と感じやすくなります。

同じテーマを繰り返し扱うことの効果

1on1では、毎回異なる話題を取り上げるだけでなく、同じテーマを定期的に振り返ることも効果的です。

例えば、

  • キャリアの希望やモチベーションについては、時期や環境によって変化があるため、数回にわたって確認することで、より正確な理解が得られます。
  • 過去に設定した目標や改善課題を再度取り上げることで、「覚えてくれている」「気にかけてくれている」と部下が感じ、信頼関係が深まります。

1on1の記録を活用して、前回話した内容を把握し、今回のテーマとして再設定するサイクルを持つことで、対話の継続性と実効性が増します。テーマの反復は、表面的な対話から一歩踏み込んだ「成長支援型の1on1」へとつなげる有効な手法です。


1on1のテーマ別質問例|対話が深まる聞き方の工夫

1on1ミーティングでは、テーマ設定と同様に「質問の仕方」も非常に重要です。効果的な問いかけは、部下の本音を引き出し、信頼関係の構築や課題の発見につながります。

ここでは、感情・業務・キャリアの3つの視点から、対話が自然と深まる質問例を紹介します。1on1の質を高めたい上司にとって、聞き方の工夫は欠かせないポイントです。

「最近うれしかったことは?」など感情を引き出す質問

1on1の冒頭では、業務の話に入る前に、感情にまつわる質問で部下の気持ちを和らげるのがおすすめです。

例えば

  • 「最近うれしかったことは?」
  • 「最近あった小さな成功体験は?」

このような問いかけは、部下のポジティブな感情を引き出しやすく、会話の雰囲気を柔らかくする効果があります。また、感情にフォーカスした質問は、部下自身が自分の状態に気づくきっかけにもなります。業務の話題だけでは見えない、部下の価値観やモチベーションの源泉を知ることにもつながるため、信頼関係の土台作りとしても非常に有効です。

1on1を「話してよかった」と感じてもらうために、感情ベースの質問から対話をスタートする習慣を持ちましょう。

「今、困っていることは?」など業務面の課題に寄り添う質問

1on1ミーティングは、部下の業務上の課題や悩みに早期に気づくための絶好の場でもあります。

例えば

  • 「今、何か困っていることはありますか?」
  • 「タスクが滞っている部分はありませんか?」

こういったオープンな質問を投げかけることで、表面的には見えにくい課題が浮き彫りになります。特に、部下が自ら声を上げにくいタイプであっても、こうした問いかけがあることで、安心して本音を話せる空気が生まれます。重要なのは、批判せずに傾聴し、「一緒に解決しよう」という姿勢を見せることです。業務改善だけでなく、部下の心理的負担の軽減にもつながるため、定期的に取り入れるべき質問カテゴリーといえるでしょう。

「今後やってみたいことはある?」などキャリア意識を促す質問

部下のキャリア形成を支援するには、将来の展望に関する質問が効果的です。

例えば

  • 「今後やってみたい仕事は?」
  • 「どんなスキルを伸ばしたいですか?」
  • 「これまでに一番やりがいを感じた仕事は?」

このような問いは、部下の自己認識を促し、学びや挑戦への意欲を引き出すきっかけになります。キャリアの話題は、1回の1on1で結論を出すものではなく、定期的に継続して対話することが重要です。上司としては、部下の希望を把握し、現業務との接点や将来的なアサインの可能性を意識してサポートできるようにすることが求められます。

キャリア支援型1on1の第一歩として、ぜひ取り入れてください。


1on1で避けたい話題とNGパターン

1on1ミーティングは、信頼関係の構築や成長支援の場である一方で、話題選びを間違えると逆効果になる恐れもあります。部下に不安や不信感を与えるような話題や進め方は避けるべきです。

ここでは、1on1で避けたほうがよいセンシティブな話題や、よくあるNGな話し方の例、評価と誤解されるテーマの扱い方について解説します。

部下が話しにくいセンシティブな話題

1on1では部下との距離を縮めることが大切ですが、プライベートに過度に踏み込むようなセンシティブな話題は避けるべきです。

例えば

  • 「恋人はいるの?」
  • 「結婚は考えてる?」
  • 宗教・政治・家族問題など個人的な価値観に深く関わるテーマ

このような質問は、本人にとって答えたくない話題かもしれません。信頼関係を築くつもりで話しかけても、プライバシーへの配慮が欠けると、逆に距離を生む結果になりかねません。相手の様子や反応を観察しながら、「話してくれたらラッキー」くらいの姿勢で臨みましょう。1on1は「話させる場」ではなく、「話したくなる場」にすることが何より重要です。

一方的に説教やアドバイスをする形になる話し方

1on1の場が、上司からの一方的な説教やアドバイスばかりになるのは避けるべきNGパターンです。本来、1on1は部下の話を引き出し、傾聴する場であり、上司が主導で話し続ける場ではありません。

例えば

  • 部下の悩みに対してすぐにアドバイスを始める。
  • 過去の失敗を強く指摘するような言い方をする。

このような話し方をすると、「話しづらい」「否定された」と感じてしまう可能性があります。特に若手社員は、正論であっても「説教」と受け止めがちです。

まずは相手の意見や気持ちをじっくりと聞く姿勢を持ち、「どう思っている?」「どうしたいと思っている?」と問いかけることで、対話型の1on1を心がけましょう。

評価につながると誤解される話題の扱い方

1on1は評価の場ではありませんが、話題の内容によっては部下が「これって評価に影響するのでは…」と不安を感じることがあります。

例えば

  • 業務ミスや仕事の遅れについて深く掘り下げる。

このような誤解を避けるためには、冒頭で「これは評価ではなく、業務改善やサポートのための話です」と伝える工夫が重要です。

また、評価面談との違いを明確にすることで、部下も安心して率直に話せるようになります。1on1では「評価される場」ではなく、「支援される場」という意識を共有し、信頼と安心感を持たせる進行を心がけましょう。


1on1の失敗例から学ぶ注意点

1on1ミーティングを導入しても、進め方や目的を誤ると効果が薄れてしまいます。実際によくある失敗例から学ぶことで、対話の質を改善し、信頼関係の構築に役立てることができます。

以下では、ありがちなミスとして「雑談だけで終わる」「上司が話しすぎる」「前回の内容が活かされない」といったパターンを取り上げ、注意すべきポイントを解説します。

雑談だけで終わってしまう

1on1はリラックスした雰囲気が重要ですが、雑談ばかりで終わってしまうのは避けるべき失敗例です。

例えば

  • 「最近どう?」「週末何してた?」といった話題だけで時間が過ぎる。

このような場合、肝心の業務課題やキャリア支援に触れられず、本来の目的を果たせません。部下からすれば「何のための時間だったのか」と感じてしまう可能性もあります。

雑談はアイスブレイクとして有効ですが、その後は事前に設定したテーマに沿って本題へ移行することが大切です。1on1を単なる「世間話の場」にせず、業務支援や信頼構築の機会として活用するためにも、構成のバランスに注意しましょう。

上司が一方的に話してしまう

1on1で上司が一方的に話しすぎるのは、信頼構築を妨げる典型的な失敗です。指導のつもりで過去の経験談やアドバイスを長々と語ってしまうと、部下は「聞いてもらえない」と感じ、本音を話すことをためらうようになります。特に若手社員は、否定されることへの不安が強く、意見を引き出すには安心感が不可欠です。

1on1では上司が話すのは全体の2〜3割程度が理想とされており、主役はあくまで部下です。質問を投げかけ、相手の考えをじっくり聞き、必要に応じて短く補足するスタンスを意識することで、双方向のコミュニケーションが成立し、信頼関係の深化につながります。

前回の話が活かされていない(記録や振り返りがない)

1on1で前回の話題がまったく活かされていないと、部下は「覚えられていない」「適当に扱われている」と感じることがあります。

例えば

  • 前回の相談内容について、上司から全く触れられない。
  • 記録を取らずに毎回ゼロからの会話になってしまう。

例えば「前回相談した課題、どうなったかな?」と上司から聞かれることで、部下は継続的に見守られている安心感を得られます。逆に、記録を取らずに毎回ゼロからの会話になってしまうと、関係性の積み重ねが感じられず、1on1の信頼効果も半減してしまいます。

過去の対話内容をメモし、次回の1on1で自然に振り返る仕組みをつくることが重要です。記録とフォローアップを意識することで、1on1が「形だけの対話」から「継続的な支援の場」へと変わっていきます。


まとめ

1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に信頼関係を深めるための重要な対話の場です。その効果を最大化するためには、テーマ選びと質問の工夫が欠かせません。目的を明確にし、部下の性格や状況に応じて柔軟に話題を設定することで、単なる業務報告を超えた価値ある時間となります。

感情や業務、キャリアといった複数の切り口からテーマを構成し、対話を重ねることで、部下の本音を引き出しやすくなり、育成や離職防止にもつながります。一方で、センシティブな話題や一方的な説教、前回の内容を無視した進行などは、信頼を損なう原因にもなり得るため注意が必要です。

記録や振り返りを通じて、継続的な対話を行うことも効果を高めるポイントです。1on1を「話して終わり」にせず、「次につながる場」として丁寧に設計・運用していきましょう。

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